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烏有に帰した野原で

「 ポルノの最高峰 」

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ポルノの最高峰

2008.11.23 Sunday 03:12

氏賀Y太というマンガ家を知っているでしょうか。
その道のことを知っておられるなら、顔をしかめる人もいるかもしれません。
彼のマンガではかなりの部分において、女体がものの見事に形骸化されます。
彼のマンガに多用される語句に「お前は穴だ」というものがありますが、まさにそう。
女は穴として扱われる。
ですが、これは氏賀氏のマンガだけではないということをここに指摘しておきます。

私はあまり性愛ということに関しての知識は浅いと思われます。
O嬢の物語やサドをはじめとする文学作品を読み込んでいるというわけでもないし、実際に性交を済ませているわけでもない。
まあ、一童貞の、一消費者から見る消費者がどのように消費しているのかという考察に過ぎません。
そのことを前提にして以下の内容をお読みいただけると幸いです。

ポルノグラフィティというものの目的は性欲の増進であると思います。
この性欲の増進というもので他のものを挙げるならば、AVであったり裏本であったり同人誌であったりエロアニメであったりエロフラッシュであったりHCGであったりエロゲであったりしますが、この中でリアリティのあるものを選び出せといわれると、すべてを選ばざるを得なくなりますが、リアルがあるものはどれかといわれれば、AVや裏本だけでしょう。後はすべて妄想の産物であり、現実的にありえてはいけないものたちです。
ありえてはいけない、というのは、その内容においてです。
AVや裏本(裏本はあまり見たことがないので言及することは控えますが)は、基本的にモデルを起用します。例えばAV女優であったり、素人さんであったり。それを彼女たちの性交をカメラに収めます。
そして、ここには人権がある。
コレは非常に大きい問題です。AV女優であったり、素人であったり、つまりはAVに出演している人間はすべて人間としての扱いを受けます。中には非常に人権を無視した内容のものが含まれますが、出演すれば、それ相応の金額を受け取ることができるでしょう。私はAV業界の内情に詳しくないのでこの辺にしておきますが。
さて、問題は他の、主に二次元によって表現されるポルノグラフィティたちです。
二次元によって表現されるポルノグラフィティたちにおいて、出演しているのはキャラクターです。人権がありません。よって、何をしても許されてしまいます。そこに出演料などによる保障はありません。だから氏賀Y太氏の作品に出てくる主人公はほとんどの場合が死にます。本当です。彼は主人公であるはずの女キャラを基本的に肉片に変えます。
でも、私は氏賀氏だけがこういうことをやっているとは、毛頭思わないのです。
まず、キャラクターの人権を無視するという意味合いで、すでにそのキャラクターが女である必要はありません。確かに男ではダメでしょう。萎えてしまうかもしれない。まあ、男性ではあってはならないが、女性である必要はないということです。
コレをもっと現実的にするならば、乳房は必要なく、股間に膣があり(そして肛門もあり)、挿入されると悲劇的な事実を知らされたような顔をして、悲鳴を上げ、挿入部から血を流し、押し殺したように喘ぎ、ついには服従して快感に身をゆだね、最後に恍惚を浮かべながら昇天するキャラクターであれば、なんでもいいのです。コレが、極限までに抽象化されたポルノグラフィティによる女ではないでしょうか。
ここに私はO嬢の物語やサドによる性愛の差を感じる。
小説世界においては、女というものは女性でなければならない。それはO嬢の物語やサドが芸術として、思想の体現として表現しているからだろうと思う。純文学に出てくる女は女性なのだ。
しかし、ポルノグラフィティというのは究極なまでのエンターテイメント作品であると思う。種類が多種多様にあるのに、作品の形態としてはかなり似通っているからだ。もし純文学ならそうは起こらないだろうと思う。人は皆、感性というものが違うからです。
エンターテイメント作品というのは、人に理解されるように作られています。理解というのは、目的が理解されるというニュアンスで使いました。
ポルノグラフィティというジャンルは、この理解がとても容易にされやすいものであるはずです。前にも書いたとおり、性欲の増進ですから。ということは、ほとんどすべての作品がこれをテーマにするはずです。すべては性欲で回っているのです。
それを考えるなら、この女の形骸化というものはかなり深刻であると思います。
世界最初の職業は娼婦である、というものは良く聞きますが、おそらく事実でしょうし、納得できます。
今のネットを少し眺めてみればわかるでしょう。いたるところに性欲の捌け口がある。
しかしながら、今の状況は明らかにおかしい。どんどん細分化されて、深度が増してしまっている。
リアルからリアリティ、そして幻想へと向かっています。
フランス書院のホームページに、あるお医者さんのコラムがあって、それを読んだのだけど、なんか、AVに影響されて猛烈な刺激を与えるバカ男がいるらしい。俺がやれば潮が吹くとか思ってるらしい。
これはまずいでしょ。AVとかは完全なエンターテイメントであるのに、その境目がわからなくて、自分をその世界に投影する。これはKYという言葉に代表されるような若者文化にも多大な影響をもたらしていることがわかる。バラエティ番組をバラエティ番組として見れなくなっている人間がいるということ、これはかなりまずい。
コレの遠因になっているのは宮崎勤事件とか、そういったものじゃないだろうかと思う。あの事件では、宮崎勤のオタク性がクローズアップされ、それに影響されるようにその後の報道の仕方を決定した。家を探してみるとエロゲやグロゲの山が……バカらしい。
じゃあ、今こうした記事を書いている俺は何なんですか、ということにもなると思う。
まあ、それを置いておくとしても、現実と現実性と幻想がない交ぜになってしまっている状況はやっぱりおかしいし、狂っている。
だから自覚すべきだと思う。世の同人作家たち、エロゲーマー。
私は切に願う。さもなくば進歩はない。

結論。すべてのポルノグラフィティ(二次元)は氏賀Y太氏のパクリ。
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